ご存知の方も多いと思うが、ユニクロはカジュアルファッションの小売店チェーンで、アパレル業界で「一人勝ち」と言われる程業績好調である。そのユニクロを一代で築き上げた代表者柳井正氏に焦点を当てたドキュメントである。
本書を読む限り、率直に言ってユニクロは柳井氏のワンマン企業である。宇部の小さな洋品店から現在の売上7000億円近い大企業に育て上げたのは柳井氏の手腕である。本書は、どの様な手段を使ってここまでの企業に育て上げたのか、それを柳井氏の幼少時代にまで遡って報告する。或いはアパレルの外国産業であるGAPやZARA等とも比較し生産地の中国企業まで取材して、その視野は広い。
経営者かくあるべしとまでは行かないが、企業経営者にとっては随分参考になるのではないか(私は一人経営者なので余り見習うべきだと思った点はないが)。
本書は、ユニクロの提灯持ちではなく、どちらかと言えば覚めた目で冷徹にユニクロを分析している。私の読後感では、ユニクロが大企業に見えながら、その実質が柳井商店というべきワンマン商店であることに著者は危惧感を抱いているように見える。
私の知らない世界を覗けて大変興味深かった。