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2011.12.04(日)

暴力団

溝口敦

暴力団の知識についての入門書である。簡単な歴史から現代の状況に至るまで簡明にまとめてあるので、好個の入門書ということが出来よう。叙述も暴力団を一方的に敵視するのではなく、取り締まる側の警察に対しても一定の距離を置いて書かれてあるので、客観的な知識が得られる。

感想としては、暴力団は相当追い込まれているなというものと、暴力団以外の反社会的集団(本書では「半グレ集団」と呼んでいる)の台頭に対する不安感・危機感というものである。官民一体となった暴力団追放運動が一定の成果を挙げて、暴力団が跋扈する余地が殆ど無くなって来ている現状が明らかにされ、それはそれで喜ばしいことだが、その代わり、暴力団に属さない反社会集団が現れて来ている現状が報告されている。著者のいう「半グレ集団」とは、昔なら暴力団に吸収されていた反社会性を持つ若者が、暴力団には入らず自分たちで徒党を組んで反社会的行為を行うというものである。暴走族OB等が供給源だが、それに限られず比較的若く匿名性も強いので、警察も実効的な対策が余り立てられていないということである。何かモグラ叩きみたいな状況だが、今後は暴力団だけでなく、この「半グレ集団」に対しても注意を払って行かなければならない、ということである。

不況が続くと犯罪が増え、反社会的集団を醸成する。何とか景気も治安も良くなって欲しいものである。


新潮新書
700円+税