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福岡市弁護士甲能ホーム日記インデックス2010.7.2(金):弁護士バッジ

日記インデックス

2010.7.2(金)

弁護士バッジ

6月30日朝、出勤の準備でスーツを着ようとしたら、弁護士バッジがない。いつもはスーツの襟元のバッジ穴(本来はボタン穴だろう)に嵌めてあるのだが、見当たらない。私は良く弁護士バッジを裏バッジ(バッジの裏の方を表に出す)にしている。裁判所など弁護士資格と関係のある場所を別にして、関係ない場所でも弁護士バッジを光らせて「弁護士でござい」と触れ回るような姿勢はみっともないと思っているからである。

その裏バッジへの付け替え癖が裏目に出て、留め金が緩んでどこかに落としたのだろう。スーツの架けてあった場所にも事務所のハンガー辺りにも見つからないので、直系2センチ足らずの小さなものだからもう出てこないだろうとあきらめ、弁護士会に再発行の申し込み手続きをした。手数料を1万円も取られた。

失意の下で一日の仕事を終え帰りの地下鉄に乗る際に、ひょっとしたらという思いが頭をよぎり、地下鉄の拾得物の係に問い合わせた。

そうしたら、あった!! 昨夜11時頃に地下鉄赤坂駅で拾得されていたそうだ。一つ隣の天神駅窓口まで行って現物を確かめると、裏に打刻してある弁護士登録番号が私のものであり、紛れもなく私の弁護士バッジだった。良かったぁ〜。一安心である。

翌日、再発行の手続きを取り下げ、手数料1万円も返してもらった。

弁護士には弁護士会発行の身分証明書が申請すればもらえるが、ほとんどの弁護士が弁護士バッジで代用しており、身分証明書は取っていない。警察の留置場や拘置所での被疑者・被告人への面会は、弁護士バッジさえ見せればフリーパスである。だから、弁護士バッジを落として失くしてしまうと面会に行けなくなるし、逆に拾得者に悪用される危険もある。私が大きく安堵したのもご理解いただけよう。

弁護士バッジは見かけは菊に見えるが、本来は向日葵である。銀の土台に金メッキがしてあるが、弁護士生活が長いと、金メッキが剥げて銀の地肌が見えてきて、更に錆ではないと思うが黒ずんでくる。逆に言うと、金ピカの弁護士バッジは弁護士歴が浅いことを示し銀色で黒ずんでいればベテランであることを示すことにもなるのだ。(ドラマではベテラン弁護士が金ピカのバッジをしていたりするが、実際は違う)。私は弁護士歴20年になるので、金ピカの新バッジは私のベテラン度が否定されるようで恥ずかしい。もし新バッジが再交付された際は、磨き粉か何かで金メッキを剥がさないと格好がつかないなぁ等と考えていた(実際なめられないためにメッキを人為的に剥がす新人弁護士もいると聞く)。

この弁護士バッジは、弁護士登録番号が裏に打刻してあり世界に一つしかないその弁護士のものだが、建前は日弁連からの借り物で、弁護士を廃業する場合は日弁連に返還しなければならない。やはり悪用されては困るからだろう。

いずれにしても、私の貴重な商売道具が戻ってきて本当に一安心である。