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福岡市弁護士甲能ホーム判例解説インデックス判例解説、大阪高裁「賃貸更新料特約無効」と判断

判例解説インデックス

2009.08.30(日)

判例解説、大阪高裁「賃貸更新料特約無効」と判断

消費者契約法に違反

大阪高裁は、借主が引き続き借家を使用したいなら一定年限毎に「更新料」という名目で定額を借主が大宅に払うという特約を消費者契約法に違反して無効と判断した(朝日8月28日朝刊)。

「更新料」をとる地方は日本全国一律ではないが、かなり広い地方に広がっている。従って、この判決の影響は大きいだろう。

消費者契約法には、「消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする」規定がある。そもそも消費者契約法は、事業主と消費者との間には、情報量や熟練度で圧倒的に優位にある事業者が消費者を食い物にする傾向を防止しようとしたものであり、その意味で今回の判決には意義がある。「家賃の一括払い」という様な性格を認めようとしなかったのは、その様な説明が契約時になかったからだということのようで、借主が定期的に家賃の前払いをするということで合意されたのなら或いは合法とされたかも知れず、そうなると「更新料」という言葉の説明責任という方向へ問題が移行するのかも知れない。

高金利の消費貸借契約で消費者側を保護しようという動きが司法界では定着して来ているが、そういう方向が不動産賃貸借でも現れてきているのかも知れない。