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判例解説インデックス

2009.02.28(土)

判例解説「追い出し屋賠償命令」

家賃保証会社に慰謝料支払いを命令

やや旧聞に属するが、2月17日、福岡簡裁は家賃滞納の支払い督促の仕方が違法と認定して慰謝料の支払いを支払い請求会社に認めた(朝日朝刊、2月18日)。

記事によると、家賃の連帯保証人となる会社が借主の家賃滞納を追及し、午後9時頃から翌日午前3時頃まで借主宅で交渉を続けたという。裁判官は「午前0時を過ぎた交渉については精神的苦痛を与えたというべきだとして慰謝料5万円の支払いを命じた。

賃貸住宅の入居者から保証料をとり、家賃の滞納があれば家主に立替払いする家賃保証会社については、強引な取立てや退去交渉を巡ってトラブルが相次いでいるそうで、弁護士らで「全国追い出し屋対策会議」という支援団体もつくられているという。

借りたものは返す、住まいを借りたら好意で貸したのでない限り家賃を払う、というのは常識だから、逆に権利者の側が返せ・支払えと請求する権利は保障されているのが原則である。しかし、請求方法が度を越した場合は、違法と評価される場合もある。特に暴力を伴う場合は恐喝罪に問われたりする。本件の場合は刑事罰が必要なほどではないが民事賠償が必要な程度には違法だと認定されたことになる。これを専門にする「追い出し屋」なる仕事が確立していることなるとすれば、問題は根深い。