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メディア評インデックス

2010.04.18(日)

物語 数学の歴史 正しさへの挑戦

加藤文元

数学は好きな科目だった。試験では答えが一つしかないし、明快・論理的だからである。また証明問題では、証明がうまく行って、以上証明終わりと書くときには大変快感があった。多分この快感を何万倍も感じる感性を持ち、それなりの頭脳を持っていれば数学者になれたかもしれない。いずれにしても数学者には私は強い憧れがある。数学者は論理の美をとことん追求する人達であり、その意味で一般の芸術家と変わりはない筈である。

その様な背景から、本書を読んでみた。

出てくる数式は中学・高校初期くらいの内容なので、そこは余り苦労しないのだが、やはり概念の説明には少々難渋する。

数学の歴史は「見ること」(例えば直感で理解しやすい図面‐幾何学に通じる)と「計算すること」(代数や関数に通じる)から発展し、それが統合される過程として歴史が語られるのだが、そして、その流れはイメージしやすいのだが、私が叙述を全て理解できたかと言えば正直あやしい。何となく読んでしまった、という感じである。ただ、途中で投げ出すほど難解ではなかったとはいえよう。

西洋数学と中国・日本の算術も対比して語られ、それはそれで興味深い。日本にも微積分学が江戸時代に発展していたという辺り、へぇーっと思ってしまう。

高校辺りの数学とは全く次元の異なる高次の数学の話だが、それでも何となくイメージだけはわかった様な気がする。それだけでも自分が一つ賢くなった錯覚に陥るから、自己満足でもいいから得した気分を味わいたいとお考えなら、読んでみられることをお奨めする。


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